砂場のスコップ

あなたは公園の砂場で遊んでいます
そこにプラスチックのバケツを持った子が来ます
その子はあなたにピカピカのスコップや熊手を見せます
「砂場で遊ぶにはこれが必要なんだ
 公園には絶対持ってくるべきだよ」
もちろんそれは正しくありません
そんな道具無しであなたは遊んでいました
それに公園の遊ぶ場所は砂場だけではありません

でもその子にあなたを騙すつもりはありません
その子は本気でそう思っているのです

だからあなたはその子に反論はしません
「うん、とても綺麗なスコップだね」
喜んだその子はあなたにスコップを貸してくれます
2人で仲良く砂場遊びをします
「もう帰るね スコップを返して」

その子が帰った後あなたは思います
「たしかに綺麗なスコップではあったね」

それから先も いろいろな人が いろいろな場所で
あなたに「砂場のスコップ」を見せてきます
熱心に 自慢げに 大事そうに 秘密めかして
もったいぶって あなたの事を思って
あなたの事を心配して
スコップは物とは限りません
知識、経験、技能、地位、学歴に経歴
家柄とか血縁とか受賞歴とか顔の広さとか

あなたはただ素直に驚き感心し感動し賞賛し
見せてくれたことに感謝しましょう
それはその人にとって本当に大事な「砂場のスコップ」なのです

1人になってからあなたはこう思う
「なるほど、あれがあの人の砂場のスコップなんだ」
そう これがリセットボタン
ギアがニュートラルに戻ります
「なるほど、あれがあの人の砂場のスコップなんだ」