ステップ6-2 今あなたがいる世界 その2

過去に戻っても未来に進んでも良くもならない悪くもならない
一つだけの時間の向きに縛られたあなたの理解は
あなたを賢くはしません
一つだけの時間の向きに縛られたあなたの経験は
あなたを成功させません
一つだけの時間の向きに縛られたあなたの記憶は
あなたを幸福にはしません
これは個人においてもそうですが社会全体に同じ事がいえます
歴史は人間を賢くはしません
歴史は人間を進歩させません
歴史は人間を幸福にしません

「浮気した夫と別れたい」
「子供がぐれた」
「親が自分を認めてくれない」
「隣人がいやがらせをしてくる」
「上司が無能すぎる」
「自分よりモテる友人が憎い」
このようなトラブルが3千年以上昔からありました
こういった人間関係のあーしたこーしたという問題は
現代だろうが中世だろうが古代だろうが
内容はほとんど変わりません
3千年前から解決法を先人たちが試行錯誤して
その結果をまとめた本がたくさん書かれて
その経験が小説戯曲にも取り入れられ
それを読んだ人が試行し修正してさらに完成度の高い本を書く
そうやって膨大な英知が過去から積み上げられてきたはず

たくさんの専門書を研究し
蓄積された膨大な英知をマスターしているはずの
現代の専門家たち(宗教家・カウンセラー・セラピスト)の意見は
まったく一致しません
家庭問題の解決法や生き方へのアドバイスを尋ねると
口調はもっともらしく話し方に説得力だけはある
しかし問題の核心の上っ面をなぞるだけ
中身のない紋切り型の常套句の羅列
理屈は全部後付けのいきあたりばったりの責任のがれ
どうしようもなく役にたたない
そして彼ら専門家自身の人生はといえば
結婚カウンセラーは離婚し教育評論家の子供は非行に走る
もう本当に理解しがたいひどさです

前提が間違っているんです

英知が積み上げられ、良書が著され
良い親が子供に良い教育を行い
良い先生が子供を上手に導き
その結果
人はより賢くなり、より人生を理解し、より社会を理解し
幸福で満ち足りた人生を送れるようになれる

これが全部違います、全部間違っています
人間の英知というものが本当に
過去から未来へと積み上がっていくものならば
歴史とともに完成されていくものならば
この世界はとっくに
もっともっとマシなものになっていたはずですよね

私たちは火災の起きた巨大なビル
その最上階で右往左往しているような状態です

あちこちで知ったかぶりたちが叫んでいます
「ダメだ!!絶対そっちには行くな!」
「助かる道はこっちだけだ!間違いない!!」
「これをやれば絶対助かる!!私を信じなさい!」
断定的であったり独善的であったり
どれもこれも声だけは大きいが悲しいほど見当はずれです

あなたは目の前にある脱出口らしきものに気づきます
そしたらあとはスパッとそこに飛び込めばいい

「脱出できます」と
周りの人に教えようとしてはいけません
周りの人を助けようとしてはいけません

そんなよそ見をしていると
せっかくの脱出口を煙で見失うだけ
おせっかい心も名誉欲もヒーロー精神も
隣人愛も正義感もリーダーシップも
全部まとめて邪魔なだけです

ただ黙ってあなたがそこに飛び込めば
逆に周りの人全員が行き先に先回りしていて
あなたを歓迎してくれる