登山道の看板

「頂上まで6km がんばりましょう」
「頂上まであと1km もうすこしです」
「頂上です おめでとう」
いくつもの看板に応援され頂上についたあなたは
達成感に包まれます

でもそれでいいのですか?

途中の景色や草花なんかろくに見てませんでしたよね?
鳥の声や爽やかな風を楽しむことも無く
ひたすら頂上へ頂上へ頂上へと急ぐ

頂上が目指すべきゴールだと
そこまでの登山道は必死に乗り越えるべき苦行だと
誰かに勝手に決められてしまったせいです

学校がそうでした
あなたが普通に走っていた道は
先生たちによってマラソンコースと名付けられました
あなたが目指さなければならないゴールが
勝手に決められました

「この連休はテーマパークで絶対決まり
 いままでにない衝撃体験が待っています」
「老舗ホテルの特別宿泊プラン
 あなたに最高の癒やしの時間を」
今日もあなたはテレビや雑誌やネットに誘導され
電車を何度も乗り換えて
渋滞の道路を何時間も車で走り
特別なごほうびをもらうために
辛い苦行をくぐりぬけようとしています

確かに達成感は味わえるでしょう
決められた「やるべきこと」を
終わらせたのですから

でも本当にそれでいいのですか?

誰かが勝手に「特別な場所」を決めた時に
同時にその100倍の「そこへ至る厳しい道のり」が生まれます

誰かが勝手に「特別な時間」を決めた時に
同時にその100倍の「耐え忍ぶべき時間」が生まれます

こんなバカバカしいことにいつまでも付き合って
疲れきらないでください